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マッチムーブに必要なカメラの基礎知識
画角と焦点距離
マッチムーブにおいて、焦点距離(Focal Length)はカメラの画角(Field of View, FOV)を決める上で非常に重要な要素です。
画角はレンズの焦点距離(ミリ数)、センサーサイズ(フィルムサイズ)の2つで決まります。
これらの両方の値がわかっていると3D上のカメラと実際のカメラの画角を合わせることが可能になります。
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焦点距離は絶対値ではありません。
焦点距離は必ずしもカメラの仕様通りの値とは限りません。特に、シネマレンズと一般的なカメラレンズでは、表記されている焦点距離の精度に違いがあります。
1. シネマレンズと一般レンズの違い
- シネマレンズは、設計上ほぼ正確な画角を持つため、スペックに記載された焦点距離が実際の画角に近い。それでも小数点が丸め込まれている場合がある。※オールドレンズやそれらの再ハウジング品は例外
- 一眼レフやスマホのレンズは、焦点距離を分かりやすく表記するため、近似値になっていることが多く、実際の値と数ミリ異なる場合もある。特に、正確なスキャンデータと組み合わせる場合、スペックシートの値を鵜呑みにすると誤差が生じる事もある。
2. ズームレンズの不正確さ
- シネマレンズでもズームレンズの焦点距離はメタデータでも小数点第2位まで正確に記録されることは少ないため、厳密には誤差が生じることがある。
3. ブリージングの影響
- フォーカス時に焦点距離が変化する「ブリージング」によるズーム効果のあるレンズでは、無限遠での画角が設計画角の場合が多い。フォーカス位置によって焦点距離が微妙に変わるため、正確なマッチムーブには注意が必要。ディストーションチャートの撮影時も注意が必要になる。
4. レンズ補正とクロップの影響
- レンズ補正を適用すると、歪みが補正される過程で画角が変化することがある。基本的には補正後の画角が設計上の画角の場合が基本だが、レンズによっては補正によって焦点距離と画角が一致しない場合もある。
- スマホなどの電子手ブレ補正では、手ブレを補正するために映像がクロップされ、実際の画角が変わることがある。このため、スペックシートの焦点距離を基に計算するより、トラッキングソフトの自動算出値を使用するほうが正確な場合が多い。
5. ミリ数が不明な場合のキャリブレーションと代替手段
- 事前にキャリブレーション用のデータを撮影し、トラッキングソフトで自動算出しやすい環境で正しいミリ数を算出するのも有効な手段。
- 3Dスキャンデータや直線パースのあるオブジェクトを利用して、実際の焦点距離を算出する方法もある。これは、既存のレンズデータが信用できない場合や、ズームレンズでの誤差を補正したい場合に有効。スキャンデータと厳密似合わせたい場合等もスキャンデータ合わせで補正したものが正解となる。
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センサーサイズ、収録モードと解像度
センサーサイズ
カメラによってセンサーサイズは異なりますが、ほとんどのトラッキングソフトはセンサーの横幅が分かれば、高さは画像の縦横比から自動計算されるため、特別な調整は不要です。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 35mm換算値のみの記載でも問題はなし(35mmセンサーの幅は36mm)
- APS-Cサイズはメーカーによって微妙に異なる(例:CanonとSonyのAPS-Cは若干サイズが違う)
- 1/2インチなど、対角サイズで表記されるセンサーもある(正確な横幅を調べる必要がある)
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に各センサーサイズを調べられるサイトリンクページを用意しています。
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収録モード
シネマカメラや一眼レフなどでは、撮影解像度や撮影モードによって実際のセンサー解像度に対してクロップして撮影するカメラが多く、どの設定で撮影したかによってセンサーサイズの定義が変わるため注意が必要です。