アナモフィックレンズの基礎
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アナモフィックレンズは何故VFXに向かないか
アナモフィックレンズの基礎 でアナモフィックの特徴について述べたが、では何故アナモフィックレンズはVFXに向かないのか考えていきましょう。
結論から言うと、基本的にはアナモフィックレンズの味として良いとされるポイントがことごとくVFXでの作業工程で高コストとなるということになります。
よく2倍コストがかかるなどと言われますが実際にはそれ以上の作業コストが発生しやすいです。
特に影響を受けるのが、コンポジット、トラッキング作業です。
- コンポジット作業
- 光学的欠陥要素の再現が難しい。
- 特徴的なボケやフレアの影響で馴染ませやマスク処理の難度が上がる。
- トラッキング作業
- 圧縮、ディストーションにより発生する影響で難易度が上がる。
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VFXパートのみ球面レンズで撮影することでVFXコストは押さえられる。特にクロマキー撮影などで背景が丸々CGになる場合はポスト処理でルックを模倣する方がコスト面、品質面でも良い場合が多いです。
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とは言っても多くの作品で使われているのも事実です。では何が問題でどういう事を考える必要があるのか見ていきましょう。
スクイーズにより生じる問題
- 現在一般的な、デジタル撮影の場合通常、デスクイーズは横に引き伸ばすのでは無く、縦に潰すことでデスクイーズします、これは横に引き伸ばしてもデジタルの場合ピクセルが伸びるだけで解像度に還元されず、またそこまでの大きな解像度が不要となることが多いためです。
- デスクイーズによりセンサー由来の光学現象において問題が生じることがあります。いくつかありますが一番はグレイン(センサーノイズ)です。昨今6k、8k等で撮影したものを4Kや2k等にダウンコンバートするためグレインが目立たなかったり別のグレインを乗せ直したりあるかもしれませんが、合成作業時は気に掛ける必要があります。
- その他にセンサー由来のフリンジや収差、色にじみ、圧縮フォーマットの場合圧縮ノイズ、シャープネスなどでも影響が出る場合があります。
- エッジブラーやグローなどブラー系の処理には注意が必要になります。
- 当然ながらモーションブラーにも影響が出ます。モーションブラーはセンサー(フィルム)由来で生じるためスクイーズのかかった状態で掛けることが正解と言えます。しかしながら、さすがにそこまでしなくとも目立つことは少ないかもしれません。